メイドの手帖 最低賃金でトイレを掃除し「書くこと」で自らを救ったシングルマザーの物語

DV、ホームレス生活、破れた夢、「貧困=自己責任」を強いる社会。

一変した人生に翻弄されながらも自分の手で道を開くことを選び、

己の内なる声を書き記すことで少しずつ希望を取り戻していった、

あるシングルマザーの回想録。

出版社からのコメント

これは、書かれる可能性がほとんどなかった物語だということを、どうぞ忘れないでいてほしい。
今まで多くの女性が語ることができずにいた、多くの物語があることも、どうか忘れないでほしい。(バーバラ・エーレンライクによる本書序文より)シングルマザーとなった著者は、生活のために富裕層の家を掃除する「メイド」の仕事につく。自分を見えない幽霊のように扱う者たちの台所やトイレを磨く毎日。貧困、DVを振るう元パートナーや経済的自立を阻む恋人、穴だらけの福祉、偏見の目、そして誰からも尊重されない孤独の中、それら全てが低下させる自己肯定感に苛まれながらも、作家になる夢と、自らの解放を叶えていく。社会から不運にも疎外された者が地べたから見た格差社会の眺めと、少しずつでも自ら未来を変えていく希望を描いた回想録。発売早々全米ベストセラーとなり、バラク・オバマ前大統領の2019年サマーリーディングリストと年間推薦図書にも選出。2021年、NETFLIXで映像化が決定している。

ひとり親であること、貧しいこと、生活保護受給者であること、DV被害者であること、セーフティネットとなる家族や地域共同体がないこと、最低賃金の非正規労働者であること、そして単に女性であることなど、現在の社会においていずれかひとつでも困難を帯びてしまう要素を何重にもまとわされ、差別・偏見に晒されたり不都合を被る当事者としての苦悩と、作家になる夢と娘への愛を原動力に少しずつ前進することを覚えていった著者のタフでパワフルな歩みが、日本においても同じ問題を抱えた人にとっての光となる力をもつ一冊です 。